安易にセシウムの選択的除去を進めないことのすすめ

理由:ストロンチウムを見失う恐れがあるため.
放射性物質放射能をもつ物質)による汚染においては、セシウム-137(Cs-137)のある所に、ストロンチウム-90(Sr-90)も多くの場合存在する.Sr-90は検出しづらいため、Cs-137による汚染がある所ではSr-90の汚染も疑うことになる.
そのような環境からCs-137を選択的に除去した場合、汚染が無くなったように見えるかもしれないが、検出しづらいSr-90は変わらず存在し続ける.(もちろんSrも除去するのであれば良いのだが)
Cs-137、Sr-90はともに自然界で30年程度の半減期をもち、人体の代謝に乗り内部被ばくを引き起こす点も同じである.Sr-90の測定・検査・除去を平行して進めないのであれば、Cs-137の選択的除去はするべきではない.技術の良否ではなくて、この場合には向かないということだ.
もうはっきり言おう.Csによる汚染土壌などは、おそらく一緒に存在しているSrと一緒に100年以上を管理して寝かせておくことがおススメである.
検出しやすいCsを除去することで、検出しづらいSr汚染による被害を拡大しないよう、願う.